武蔵野市民文化会館のパイプオルガン
武蔵野市民文化会館小ホールにあるパイプオルガンは、都内の公立ホールにおいて初めて設置されたという歴史を持ちます。
海外からのオルガニストも多数演奏するオルガンコンサート、スクール、体験イベント等の他、1988年より開始された「武蔵野市国際オルガンコンクール」は、オルガニストの登竜門に。世界で活躍する気鋭のオルガニストを多数輩出しています。
- どんな楽器?
デンマークのマルクーセン&ソン社製のオルガンで、1984年10月に小ホールの舞台正面に設置されました。 - パイプは何本?
大小さまざまなパイプが合計2,780本もあり、全部をつなぎ合わせると、なんと約1.5kmにもなります! - 鍵盤について
手鍵盤が3段と足鍵盤があります。 - どれぐらいの大きさ?
高さ9.3m、幅5.5m、奥行2.3mもあります。 - 手鍵盤の横についているボタンのようなものは何?
ストップ(音栓)といって、オルガニストがパイプの音色を選ぶ装置。
ストップを引くと、その音色のパイプが鳴るようになります。
※仕様や各部の詳細等についてはこちら
オルガンの歴史と特徴について
オルガンの歴史は古代にまで遡り、2000年以上の歴史を有し、楽器の名称は「道具、楽器」を意味するギリシャ語の「オルガノン」に由来します。起源は、葦の管を一列に並べたパンパイプスにあるといわれています。
現代につながる鍵盤楽器オルガンの原型は、前3世紀頃にアレクサンドリアの技師クテシビオスが発明したとされる、水圧を使ったヒュドラウリス(水オルガン)です。また、4世紀にはふいご(風圧)を使うオルガンがあらわれました。
757年に東ローマ帝国皇帝がフランク王国ピピン王にオルガンを贈ったことが、ヨーロッパにオルガンがもたらされた契機といわれています。その後、送風を制御する音栓(ストップ)が整い、14~15世紀の初頭に現在の形態に近づきました。そして、キリスト教会内で使われ始め、ヨーロッパのそれぞれの地域や各時代で様々な様式の楽器に発展を遂げました。
オルガンは演奏する機能からすると鍵盤楽器ですが、音源の「パイプ」、これを発音させるための「風」、風をパイプに送り込み、また止める弁がおさめられた「風箱(ラーデ、チェスト)」、そしてこの弁を開閉する針金または細い木の棒(トラッカー)につながれた「鍵盤」から成っている巨大な管楽器です。
欧米では「オルガン」というだけで「パイプオルガン」を意味しますが、19世紀には足踏み式リードオルガンやハルモニウム、また20世紀には電子楽器が開発され、わが国ではオルガンよりも、これらの楽器のほうが早く普及したので、本来の「オルガン」がわざわざ「パイプオルガン」と呼ばれることが多くなりました。
パイプは主にオルガン・メタル(スズと鉛の合金)で作られていますが、とくに正面に並んだ装飾的機能ももつパイプには、スズが75%ほど含まれた光沢に富んだオルガン・メタルが使われ、低音用の大きい管には、銅の合金が使われています。正面に見える巨大なパイプのほかに、その奥にわずか数cmのものまで大小さまざまなパイプがそなえられています。メタルだけでなく、木製のパイプをもつオルガンもあり、形も様々です。
パイプ自体は、音の高さや音色を自由に変えることはできず、1本で1音、1音色のみ発音するので、同一の音色のパイプを音の高さの順に並べていて、音の種類(音栓)と鍵盤とに応じた本数のパイプで構成されています。