審査委員長 ギ・ボヴェ
ギ・ボヴェ(Guy BOVET)
ギ・ボヴェ(1942年5月22日生まれ)は、多才で、独創的かつ知性に溢れた芸術家として賞賛されている。オルガンが弾かれる世界各地を頻繁に旅し、多忙なコンサート・スケジュールは年間約60公演にものぼる。
50枚以上のレコードやCDは、主にスイス、フランス、スペイン、南米、近年では日本、フィリピンの歴史的楽器で録音されている。その中のいくつかは、フランスのLaser d'or賞やドイツのGrammi賞を受賞している。
歴史的楽器の保存活動も世界中でおこなっており、高い評価を得ている。その活動の中で、ヨーロッパ、日本、南北アメリカのオルガン建造家や修復家に助言を与えている。オルガニストで作曲家のジャン・アランが、そのほとんどの作品を作曲する際に使ったアラン家のオルガンも、妻マリサとともに修復した。その楽器は現在、スイスのロマンモティエ村にある元クリュニー女子修道院に設置され、彼が音楽監督を務めるオルガン講習会が毎年開かれている。
作曲家としても知られ、演劇や映画の音楽も含め、250曲以上の作品を作曲している。オルガン曲の多くはオックスフォード大学出版局、スコラ・カントルム、オイレンブルクなどから出版されている。
アインジーデルン修道院の4つのオルガンのための作品集(ドブリンガー)、スペインの作曲家ホセ・リドンのオルガン作品全集(スコラ・カントルム)を出版している。また、待望のフランシスコ・コレア・デ・アラウホ『オルガンの技法』(1626年)の新版をフランス語、ドイツ語、英語、日本語の校訂報告付きでボローニャのUt Orpheusより2007年に出版した。
彼はまた研究者として、2000以上の論文を音楽雑誌などに書いており、更にスイスのオルガン誌『La Tribune de l'Orgue』の編集長も務めている。
スペイン・オルガン音楽の専門家として、UNESCOとスイス文化財団PRO HELVETIAと協力して、メキシコとブラジルの歴史的オルガンの調査・研究もおこなった。20年にわたりサラマンカ大学のスペイン・オルガン音楽のコースで教えるとともに、世界中の音楽祭、大学やアカデミーにおいて、様々なテーマのマスタークラスで後進の指導にあたっている。また、多くの国際オルガンコンクールで審査員を務めている。
ギ・ボヴェは、2008年7月に退職するまで、長年、スイスのバーゼル音楽大学教授と、1998年から2009年までヌーシャテル協同教会オルガニストを務めた。アメリカ・テキサス州ダラスの名誉市民、ヌーシャテル大学名誉教授。彼の教育活動に対して日本で二度、フィリピンでも歴史的オルガンの保存と若手オルガニストの育成に対して名誉賞を贈られている。2007年、ヌーシャテル研究所より名誉賞を授与された。
現在、バーゼル音楽院名誉教授。サラマンカホールでは15年にわたり「スペイン・オルガンオルガン音楽アカデミー」の講師を務めた。