【浜口陽三記念室】艶やかな暗闇
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2026年3月12日(木曜)~2026年5月31日(日曜)
*池田あきこさんの作品展示は、3月31日(火)まで。4月18日(土)より一部展示替えあり
- 会期中休館日
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2026年3月25日(水曜)、4月1日(水曜)~4月17日(金曜)、4月30日(木曜)、5月27日(水曜)
浜口陽三による、黒を基調にした明暗表現には、“静謐”や“深遠”などの形容がふさわしく思えます。フランス語で“マニエール・ノワール(黒の技法)”と呼ばれるメゾチントの技法を用いた、浜口の銅版画と対峙するたび、多くの人が音のない静寂な世界を思い浮かべるのではないでしょうか。浜口は、あるインタビューにおいて、「大切なものは何か?」という問いに、「まぁ、あえていうなら、ぼくの作品で大切なのは光かもしれない。闇に対する光という意味でね。だから闇、つまり黒の部分はもっと大切なんです。」と答えています。* 確かに、画面を支配する、その比類ない艶やかな暗闇に魅入られると、まるで時が止まったようにさえ感じてしまいます。今回は、1950年代制作のメゾチント作品を中心に展示致します。描くモチーフが異なっても、その暗闇の美しさは変わりません。
会期中、吉祥寺美術館主催の2025年度アーティスト・イン・スクール 絵本作家・池田あきこ×第五小学校の小学5年生「わちふぃーるどのアラル海に99の島を浮かべよう!」の特別企画として、当館ロビーにて授業風景を伝えるパネル展示を行うとともに、浜口陽三記念室内において、池田あきこさんが手掛けた銅版画を紹介します。これらは池田さんの代名詞ともいえる“猫のダヤン”の長編ファンタジーより、『ダヤン、わちふぃーるどへ』(1999年)をはじめとする初期3作の挿絵として制作されました。モノクロームの世界は、色がないからこそ、子どもたちの想像力をさらに掻き立てます。黒一色の銅版画は、ファンタジーにおいても暗闇を感じさせ、それでいて美しく、私たちを時空を超えて展開する不思議な物語へと誘います。
*『パリと私―浜口陽三著述集』(著:浜口陽三 編:三木哲夫 玲風書房 2002年)より
© Akiko Ikeda/Wachifield Licensing, Inc.
浜口陽三略歴
- 1909(明治42)年
- 和歌山県広川村に生まれる
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1930(昭和5)年
21歳
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東京美術学校(現東京藝術大学)彫刻科中退、パリに移住
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1933(昭和8)年
24歳
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サロン・ドートンヌに出品
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1938(昭和13)年
29歳
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パリで水彩画と版画の最初の個展開催
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1953(昭和28)年
44歳
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関野準一郎、駒井哲郎と共に日本銅版画家協会を創設
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1954(昭和29)年
45歳
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第1回現代日本美術展で「スペイン風油入れ」と「ジプシ-」が佳作賞受賞
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1957(昭和32)年
48歳
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第1回東京国際版画ビエンナーレで国立近代美術館賞受賞
第4回サンパウロビエンナーレ国際美術館グランプリ受賞 -
1961(昭和36)年
52歳
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第4回リュブリアナ国際版画ビエンナーレグランプリ受賞
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1977(昭和52)年
68歳
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第12回リュブリアナ国際版画ビエンナーレサラエボ美術アカデミー賞受賞
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1982(昭和57)年
73歳
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北カリフォルニア版画大賞展グランプリ受賞
- 2000(平成12)年
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12月東京で歿、享年91歳