星空の彼方へ
- 会期
- 2024年6月6日(木曜)~2024年11月4日(月曜・祝日)
- 会期中休館日
- 2024年6月26日(水曜)、7月10日(水曜)~26日(金曜)、7月31日(水曜)、8月28日(水曜)、9月2日(月曜)~20日(金曜)、9月25日(水曜)、10月30日(水曜)
私は、油絵を志して、ヨーロッパにおけるその伝統を研究するにつけ、如何に時代が変わろうと、二次元の絵画のみが持つこの不可思議な空間の深さは、絵画の最も重要な要素として持ち続けねばならぬものと信じている。
これあればこそ、他のジャンルでは表現し得ない、絵画という平面芸術が特別の存在意味を持っているように思う。
これは、絵を志した私にとって、生涯を通して取り組まねばならない問題だと思っている。『美の遍路』(1996年)より
東京美術学校油画科を卒業した萩原英雄が木版画を始めるようになったのは、結核の療養中に木版による年賀状を作ってからでした。以降、本格的に木版画制作の道を歩むことになった萩原は、油絵のような深い空間表現を版画の平面空間の中でも可能にしようと追究し続けました。意図的に裏面から色や形を浸透させ、それを活かして表面から版を刷り重ねる「両面摺り」や、部分的に盛り上げたきめこみ(エンボス加工)、おがくずを版面に散らしたアクアチントのような表現など、独自の技法を数々生み出しました。
本展では、地道な研究の末に生み出された様々な技法により見事な深みをもたらされた星にまつわる作品をご紹介します。宇宙のような無限の広がりや悠久の時を想起させる空間表現を感じていただければ幸いです。

萩原英雄略歴
- 1913(大正2)年
- 山梨県甲府市に生まれる
- 1932(昭和7)年 19歳
- 白日会第9回展に油彩「雑木林」出品、光風会展第19回展に油彩「上り道」出品
- 1938(昭和13)年 25歳
- 東京美術学校(現東京藝術大学)油画科卒業
- 1951(昭和26)年 38歳
- 銀座資生堂で「萩原英雄(油彩)」個展開催
- 1956(昭和31)年 43歳
- 銀座養清堂画廊で「萩原英雄版画」個展開催、日本版画協会、第24回展出品、以後、第43回展を除き出品を重ねる
- 1960(昭和35)年 47歳
- 第2回東京国際版画ビエンナーレで神奈川県立近代美術館賞受賞
- 1962(昭和37)年 49歳
- 第7回ルガノ国際版画ビエンナーレでグランプリ受賞
- 1963(昭和38)年 50歳
- 第5回リュブリアナ国際版画ビエンナーレでユーゴスラビア科学芸術アカデミー賞受賞
- 1966(昭和41)年 53歳
- 第5回東京国際版画ビエンナーレで文部大臣賞受賞
- 1967(昭和42)年 54歳
- 第1回チェコスロバキア国際木版画ビエンナーレでグランプリ受賞
- 2007(平成19)年
- 11月東京で歿、享年94歳