虹の女神 イリスのほほ笑み

Xでポスト
フェイスブックでシェア
ラインでシェア

ページ番号1004605  更新日 2023年2月24日

印刷大きな文字で印刷

会期
2023年3月9日(木曜)~2023年5月28日(日曜)
会期中休館日

2023年3月29日(水曜)~4月14日(金曜)、4月26日(水曜)

 ギリシャ神話に登場する、“虹の女神・イリス”。天界と地上の橋渡しをする“虹”のように、天空の支配者ゼウスの妻ヘラ、ときにゼウス自身にも仕える伝令使としての役割を担います。

 萩原英雄は、1959年に《虹 Iris》と題する作品を制作。次いで、1965年に発表した、伝統的な浮世絵技法によって生み出された自身の代表的な具象シリーズ<ギリシャ神話>のなかで、天地に架かる虹を背景に、女神・イリスの姿をとらえています。“ギリシャ神話”は、もともと紀元前15世紀頃から口承で語られていた、さまざまな物語であり、萩原が描き出す神々の姿は、とこかユーモラスで人間味にあふれています。ゼウスが嫉妬深い妻のヘラに隠れ、黄金の雨や白鳥、純白の牛に姿を変えて恋人を手に入れる場面、美しい若者の亡骸から咲いた水仙やアネモネの花、狩人や、機織りの娘を牡鹿や蜘蛛に変える女神たちの姿、神の怒りを買い醜い怪物と化したメデューサなど、決して優美なだけではない、萩原の“ギリシャ神話”への眼差しもあわせて紹介します。

 なお、本展は、会期中、「子どもたちの作品展 みんなの笑顔で虹をつくろう!」<2023年3月9日(木)~3月28日(火)>の会場の一部となります。今回のワークショップ「にじ」に参加してくれたのは、虹の7色にちなみ、武蔵野市内の7つの幼稚園や、保育園、子育て支援施設に通う子どもたち。テーマは「みんなの笑顔があつまれば、きっと大きな虹になる」。絵本作家でシンガーソングライターの中川ひろたか氏監修のもと、美術館に大きな虹が出現しました。

 子どもたちが思い思いに“笑顔”を描いた、7色の色画用紙でつくる“虹”が、“虹の女神・イリス”のように、地域をつなぐ大きな架け橋となりますように。


作品:虹の女神 イリスの姿
萩原英雄「ギリシャ神話」シリーズより《イリス》1965年

萩原英雄略歴

1913(大正2)年
山梨県甲府市に生まれる
1932(昭和7)年 19歳
白日会第9回展に油彩「雑木林」出品、光風会展第19回展に油彩「上り道」出品
1938(昭和13)年 25歳
東京美術学校(現東京藝術大学)油画科卒業
1951(昭和26)年 38歳
銀座資生堂で「萩原英雄(油彩)」個展開催
1956(昭和31)年 43歳
銀座養清堂画廊で「萩原英雄版画」個展開催、日本版画協会、第24回展出品、以後、第43回展を除き出品を重ねる
1960(昭和35)年 47歳
第2回東京国際版画ビエンナーレで神奈川県立近代美術館賞受賞
1962(昭和37)年 49歳
第7回ルガノ国際版画ビエンナーレでグランプリ受賞
1963(昭和38)年 50歳
第5回リュブリアナ国際版画ビエンナーレでユーゴスラビア科学芸術アカデミー賞受賞
1966(昭和41)年 53歳
第5回東京国際版画ビエンナーレで文部大臣賞受賞
1967(昭和42)年 54歳
第1回チェコスロバキア国際木版画ビエンナーレでグランプリ受賞
2007(平成19)年
11月東京で歿、享年94歳