木版画革命
- 会期
- 2016年7月21日(木曜)~11月13日(日曜)
- 会期中休館日
- 7月27日(水曜)、8月10日(水曜)~12日(金曜)、8月31日(水曜)、9月26日(月曜)~30日(金曜)、10月26日(水曜)
萩原英雄が発表した最初の木版画連作である〈20世紀〉シリーズ(1955年)から〈ピクニック〉シリーズ(1976年)まで、人の姿を題材にした5つのシリーズによって、木版画家としての初期に萩原が挑んだ、木版における新表現探求の軌跡を辿ります。
萩原は、東京美術学校卒業後に高見沢木版社に入社し、初めて日本の伝統的浮世絵木版画に触れました。戦後、重度の結核を患った療養を兼ねて木版画制作を始め、高見沢で見聞きした伝統技法によって摺り上げたのが、〈20世紀〉シリーズです。その後、版の厚みや深みを求めて、「きめこみ」技法を採用した時期の〈鎧える人〉シリーズ、自由奔放な線を欲して挑戦した木版凹版による〈お伽の国〉シリーズと、次々と新たな技術・表現によって人間をかたどっていきます。また、凹版の試行は、版の凸凹双方を同時に摺る手法をも導き出し、やがて、〈影法師〉シリーズや〈ピクニック〉シリーズを完成させていきました。萩原はこの後も、エッチングやリトグラフの理論を木版に転用するなど、伝統に縛られない発想によって、木版画に革命を起こし続けていきます。
萩原が苦心しながら編み出した木版画の中の「線」の変容、そしてその線と色面で描き出された生き生きとした人びとの姿それぞれと、ごゆっくりご対峙ください。

萩原英雄略歴
- 1913(大正2)年
- 山梨県甲府市に生まれる
- 1932(昭和7)年 19歳
- 白日会第9回展に油彩「雑木林」出品、光風会展第19回展に油彩「上り道」出品
- 1938(昭和13)年 25歳
- 東京美術学校(現東京藝術大学)油画科卒業
- 1951(昭和26)年 38歳
- 銀座資生堂で「萩原英雄(油彩)」個展開催
- 1956(昭和31)年 43歳
- 銀座養清堂画廊で「萩原英雄版画」個展開催、日本版画協会、第24回展出品、以後、第43回展を除き出品を重ねる
- 1960(昭和35)年 47歳
- 第2回東京国際版画ビエンナーレで神奈川県立近代美術館賞受賞
- 1962(昭和37)年 49歳
- 第7回ルガノ国際版画ビエンナーレでグランプリ受賞
- 1963(昭和38)年 50歳
- 第5回リュブリアナ国際版画ビエンナーレでユーゴスラビア科学芸術アカデミー賞受賞
- 1966(昭和41)年 53歳
- 第5回東京国際版画ビエンナーレで文部大臣賞受賞
- 1967(昭和42)年 54歳
- 第1回チェコスロバキア国際木版画ビエンナーレでグランプリ受賞
- 2007(平成19)年
- 11月東京で歿、享年94歳