色彩と線-《イソップ絵噺》

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ページ番号1002458  更新日 2022年3月28日

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会期
2021年6月3日(木曜)~10月3日(日曜)
会期中休館日
2021年6月30日(水曜)、7月14日(水曜)~16日(金曜)、22日(木曜)~30日(金曜)、8月12日(木曜)~20日(金曜)、25日(水曜)、9月29日(水曜)

「イソップという呼び名。このやさしく、親しいひびきをもった名前を、私が知ったのは、いくつの頃であったろう。思い出そうと、つとめてみても、まったく徒労に終わってしまう。生まれたときから一緒であり、子供の頃から、今日まで、私の体内に同化しているようにさえ思えるのである。(中略)これらの寓話の主役は、鳥獣類の小動物であり、われわれの祖先の頃から、親しい関係にあったもばかりである。可愛らしい役者たちが演ずる風刺劇は、人間の生き様を、あれやこれやと語ってくれる。一つ一つが、人間社会の縮図であり、戯画を見るようである。(中略)これは、私の鳥獣戯画であり、大人に捧げる絵本でもある。」(『美の遍路』1996年)

幼い頃からイソップ物語に親しんでいた萩原は、1976年に《イソップ絵噺》シリーズを発表しました。着想から完成まで20年を要したこのシリーズは、従来の木版の凸版では得られなかった、よりやわらかい自由奔放な線の表現を可能にする木版による凹版技法を駆使して制作され、萩原が開発した技法の総決算でもありました。

本展では、《イソップ絵噺》全51点を一挙に展示いたします。鮮やかな色彩と細かな線の重なりによって生き生きと表現されている擬人化された動物たちをどうぞご堪能ください。

作品:イソップ絵噺より 獅子と蛙
萩原英雄 《〈イソップ絵噺〉より 獅子と蛙》 1976年

萩原英雄略歴

1913(大正2)年
山梨県甲府市に生まれる
1932(昭和7)年 19歳
白日会第9回展に油彩「雑木林」出品、光風会展第19回展に油彩「上り道」出品
1938(昭和13)年 25歳
東京美術学校(現東京藝術大学)油画科卒業
1951(昭和26)年 38歳
銀座資生堂で「萩原英雄(油彩)」個展開催
1956(昭和31)年 43歳
銀座養清堂画廊で「萩原英雄版画」個展開催、日本版画協会、第24回展出品、以後、第43回展を除き出品を重ねる
1960(昭和35)年 47歳
第2回東京国際版画ビエンナーレで神奈川県立近代美術館賞受賞
1962(昭和37)年 49歳
第7回ルガノ国際版画ビエンナーレでグランプリ受賞
1963(昭和38)年 50歳
第5回リュブリアナ国際版画ビエンナーレでユーゴスラビア科学芸術アカデミー賞受賞
1966(昭和41)年 53歳
第5回東京国際版画ビエンナーレで文部大臣賞受賞
1967(昭和42)年 54歳
第1回チェコスロバキア国際木版画ビエンナーレでグランプリ受賞
2007(平成19)年
11月東京で歿、享年94歳