ひかりを纏う

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ページ番号1006425  更新日 2024年6月7日

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会期
2024年6月6日(木曜)~2024年11月4日(月曜・祝日)
会期中休館日

2024年6月26日(水曜)、7月10日(水曜)~26日(金曜)、7月31日(水曜)、8月28日(水曜)、9月2日(月曜)~20日(金曜)、9月25日(水曜)、10月30日(水曜)

 黒から白への無限の階調を生み出すメゾチントを独学で習得した浜口陽三は、のちに、カラーメゾチントという全く新しい技法まで編み出しました。浜口が情熱をかたむけたこのカラーメゾチントという技法は、銅板の表面にインクを詰めるための無数のまくれ(きず)をつけたのち、図柄を描き出すためにそのまくれを磨くことで描画し、黄・赤・青・黒の4 枚の版を重ねて刷ることにより、光と闇を併せ持つ粒子のような、柔らかい色彩のニュアンスを生み出します。

 本展では、カラーメゾチントの作品22点を展示します。作品のモチーフとなったのは、蝶やさくらんぼ、貝殻、毛糸玉などといったありふれたものたちです。しかし、浜口の手にかかると、モチーフ自身が発光しているかのようにかすかなひかりを纏って静寂が支配する暗闇の中を浮かび上がり、唯一無二の存在に生まれ変わります。奥深い情感をたたえた静謐な世界を、どうぞご堪能ください。

作品:ロビーナのさくらんぼ
浜口陽三《ロビーナのさくらんぼ》1981年

浜口陽三略歴

1909(明治42)年
和歌山県広川村に生まれる

1930(昭和5)年

21歳

東京美術学校(現東京藝術大学)彫刻科中退、パリに移住

1933(昭和8)年

24歳

サロン・ドートンヌに出品

1938(昭和13)年

29歳

パリで水彩画と版画の最初の個展開催

1953(昭和28)年

44歳

関野準一郎、駒井哲郎と共に日本銅版画家協会を創設

1954(昭和29)年

45歳

第1回現代日本美術展で「スペイン風油入れ」と「ジプシ-」が佳作賞受賞

1957(昭和32)年

48歳

第1回東京国際版画ビエンナーレで国立近代美術館賞受賞
第4回サンパウロビエンナーレ国際美術館グランプリ受賞

1961(昭和36)年

52歳

第4回リュブリアナ国際版画ビエンナーレグランプリ受賞

1977(昭和52)年

68歳

第12回リュブリアナ国際版画ビエンナーレサラエボ美術アカデミー賞受賞

1982(昭和57)年

73歳

北カリフォルニア版画大賞展グランプリ受賞

2000(平成12)年

12月東京で歿、享年91歳