虹色のきらめき 光のプリズム
- 会期
- 2023年3月9日(木曜)~2023年5月28日(日曜)
- 会期中休館日
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2023年3月29日(水曜)~4月14日(金曜)、4月26日(水曜)
黒から白へと微妙な濃淡の変化を見せるメゾチントの技法から、独自にカラー・メゾチントの世界を確立した、銅版画家・浜口陽三。淡い黄色から橙、赤へと移るグラデーションや、沈んだ青、藍に紫、緑と、まるで虹の7色を思わせる美しい色彩は、明から暗へと、黄色、赤、青の三原色と黒を重ねて刷ることですべて生み出されています。メゾチント特有の柔らかな表現を生かすために、丸みを帯びたモチーフが多いという浜口。「ぼくの作品で大切なのは光かもしれない。闇に対する光という意味でね」。* 自身の言葉通り、優しいフォルムの“蝶々”や“さくらんぼ”は、漆黒の暗闇の中に潜み、淡く美しい特有の“光”を放ちます。
なお、本展は、会期中、「子どもたちの作品展 みんなの笑顔で虹をつくろう!」<2023年3月9日(木)~3月28日(火)>の会場の一部となります。今回のワークショップ「にじ」に参加してくれたのは、虹の7色にちなみ、武蔵野市内の7つの幼稚園や、保育園、子育て支援施設に通う子どもたち。テーマは「みんなの笑顔があつまれば、きっと大きな虹になる」。絵本作家でシンガーソングライターの中川ひろたか氏監修のもと、美術館に地域をつなぐ大きな虹が出現しました。
プリズム(三稜鏡)を通った光が、虹色にきらめいて見えるように、浜口がカラー・メゾチントの技法を通して追及した光と色のグラデーションの効果を、子どもたちが思い思いに“笑顔”を描いた、7色の色画用紙でつくる大きな“虹”とあわせてお楽しみください。
*『パリと私―浜口陽三著述集』(著:浜口陽三 編:三木哲夫 玲風書房 2002年)「第4章 自作を語る」より

浜口陽三略歴
- 1909(明治42)年
- 和歌山県広川村に生まれる
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1930(昭和5)年
21歳
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東京美術学校(現東京藝術大学)彫刻科中退、パリに移住
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1933(昭和8)年
24歳
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サロン・ドートンヌに出品
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1938(昭和13)年
29歳
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パリで水彩画と版画の最初の個展開催
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1953(昭和28)年
44歳
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関野準一郎、駒井哲郎と共に日本銅版画家協会を創設
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1954(昭和29)年
45歳
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第1回現代日本美術展で「スペイン風油入れ」と「ジプシ-」が佳作賞受賞
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1957(昭和32)年
48歳
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第1回東京国際版画ビエンナーレで国立近代美術館賞受賞
第4回サンパウロビエンナーレ国際美術館グランプリ受賞 -
1961(昭和36)年
52歳
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第4回リュブリアナ国際版画ビエンナーレグランプリ受賞
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1977(昭和52)年
68歳
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第12回リュブリアナ国際版画ビエンナーレサラエボ美術アカデミー賞受賞
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1982(昭和57)年
73歳
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北カリフォルニア版画大賞展グランプリ受賞
- 2000(平成12)年
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12月東京で歿、享年91歳