虹色のきらめき 光のプリズム

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ページ番号1004606  更新日 2023年2月24日

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会期
2023年3月9日(木曜)~2023年5月28日(日曜)
会期中休館日

2023年3月29日(水曜)~4月14日(金曜)、4月26日(水曜)

 黒から白へと微妙な濃淡の変化を見せるメゾチントの技法から、独自にカラー・メゾチントの世界を確立した、銅版画家・浜口陽三。淡い黄色から橙、赤へと移るグラデーションや、沈んだ青、藍に紫、緑と、まるで虹の7色を思わせる美しい色彩は、明から暗へと、黄色、赤、青の三原色と黒を重ねて刷ることですべて生み出されています。メゾチント特有の柔らかな表現を生かすために、丸みを帯びたモチーフが多いという浜口。「ぼくの作品で大切なのは光かもしれない。闇に対する光という意味でね」。* 自身の言葉通り、優しいフォルムの“蝶々”や“さくらんぼ”は、漆黒の暗闇の中に潜み、淡く美しい特有の“光”を放ちます。

なお、本展は、会期中、「子どもたちの作品展 みんなの笑顔で虹をつくろう!」<2023年3月9日(木)~3月28日(火)>の会場の一部となります。今回のワークショップ「にじ」に参加してくれたのは、虹の7色にちなみ、武蔵野市内の7つの幼稚園や、保育園、子育て支援施設に通う子どもたち。テーマは「みんなの笑顔があつまれば、きっと大きな虹になる」。絵本作家でシンガーソングライターの中川ひろたか氏監修のもと、美術館に地域をつなぐ大きな虹が出現しました。

 プリズム(三稜鏡)を通った光が、虹色にきらめいて見えるように、浜口がカラー・メゾチントの技法を通して追及した光と色のグラデーションの効果を、子どもたちが思い思いに“笑顔”を描いた、7色の色画用紙でつくる大きな“虹”とあわせてお楽しみください。

*『パリと私―浜口陽三著述集』(著:浜口陽三 編:三木哲夫 玲風書房 2002年)「第4章 自作を語る」より

作品:テーブル掛けとさくらんぼ
浜口陽三《テーブル掛けとさくらんぼ》1971年

浜口陽三略歴

1909(明治42)年
和歌山県広川村に生まれる

1930(昭和5)年

21歳

東京美術学校(現東京藝術大学)彫刻科中退、パリに移住

1933(昭和8)年

24歳

サロン・ドートンヌに出品

1938(昭和13)年

29歳

パリで水彩画と版画の最初の個展開催

1953(昭和28)年

44歳

関野準一郎、駒井哲郎と共に日本銅版画家協会を創設

1954(昭和29)年

45歳

第1回現代日本美術展で「スペイン風油入れ」と「ジプシ-」が佳作賞受賞

1957(昭和32)年

48歳

第1回東京国際版画ビエンナーレで国立近代美術館賞受賞
第4回サンパウロビエンナーレ国際美術館グランプリ受賞

1961(昭和36)年

52歳

第4回リュブリアナ国際版画ビエンナーレグランプリ受賞

1977(昭和52)年

68歳

第12回リュブリアナ国際版画ビエンナーレサラエボ美術アカデミー賞受賞

1982(昭和57)年

73歳

北カリフォルニア版画大賞展グランプリ受賞

2000(平成12)年

12月東京で歿、享年91歳