語り始める線ー浜口陽三のメゾチント・中島邑水の書

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ページ番号1002424  更新日 2022年3月28日

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会期
2016年7月21日(木曜)~11月13日(日曜)
会期中休館日
7月27日(水曜)、8月10日(水曜)~12日(金曜)、8月31日(水曜)、9月26日(月曜)~30日(金曜)、10月26日(水曜)

今回は、浜口陽三(1909~2000)のモノクローム・メゾチントとともに、当館所蔵作家の中島邑水(ゆうすい)(1907~1986)の書を展示し、白と黒による表現の世界をお楽しみいただきます。

東京美術学校彫刻科を卒業し、油彩画制作に取り組んでいた浜口陽三は、1950年代初頭に銅版画と出会い、その世界に没頭していきます。さまざまにある銅版画技法の中から浜口が選んだ〈メゾチント〉とは、銅板に無数の(点)線を刻み込むことによって明暗の調子を生み出していく技法です。浜口はこの技法を用い、身の回りの風景の断片や好みの食材などをモチーフに、多くの作品を発表していきました。

武蔵野市に暮らした中島邑水は、戦後の前衛書をリードした書家の一人です。中島は、書の美における「線質」や「書線の表情」の肝要さを説き、線は「心の動きにより千変万化」するとして、書き上げられた〈書〉の中に自己の姿を見出していきます。

静謐な時間の流れる浜口のメゾチントと躍動感みなぎる中島の書。一本の線とその集積の中に宿る、それぞれの〈生〉の姿をごゆっくりご堪能ください。

作品:うさぎ
浜口陽三 うさぎ 1954年

浜口陽三略歴

1909(明治42)年
和歌山県広川村に生まれる

1930(昭和5)年

21歳

東京美術学校(現東京藝術大学)彫刻科中退、パリに移住

1933(昭和8)年

24歳

サロン・ドートンヌに出品

1938(昭和13)年

29歳

パリで水彩画と版画の最初の個展開催

1953(昭和28)年

44歳

関野準一郎、駒井哲郎と共に日本銅版画家協会を創設

1954(昭和29)年

45歳

第1回現代日本美術展で「スペイン風油入れ」と「ジプシ-」が佳作賞受賞

1957(昭和32)年

48歳

第1回東京国際版画ビエンナーレで国立近代美術館賞受賞
第4回サンパウロビエンナーレ国際美術館グランプリ受賞

1961(昭和36)年

52歳

第4回リュブリアナ国際版画ビエンナーレグランプリ受賞

1977(昭和52)年

68歳

第12回リュブリアナ国際版画ビエンナーレサラエボ美術アカデミー賞受賞

1982(昭和57)年

73歳

北カリフォルニア版画大賞展グランプリ受賞

2000(平成12)年

12月東京で歿、享年91歳