吉野祥太郎―立てる記憶―

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ページ番号1004708  更新日 2023年3月20日

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作品:その土地の記憶を汲む
《その土地の記憶を汲む》 2015年 地面、コンクリート、鉄 Photo: Shotaro Yoshino

アーティスト・吉野祥太郎(よしの・しょうたろう、1979年生まれ)の主題は「土地の記憶」です。吉野は国内外において、土地と人との関わりをたどりつつ、その土地を成立させている記憶との対話を通して、大規模なインスタレーション作品や立体作品などの制作をおこなっています。また彼は、土それ自体に記憶が堆積していることを強く意識し、土を表現素材としてもちいるほか、記憶の層としての土を地面ごと持ち上げ「立てる」というインスタレーションも世界各地で実践しています。

吉野はこれまで、来訪者として各地に赴き、新たな視座からその土地の記憶を見いだし、大切に持ち上げることによって、作品へと具現してきました。いっぽう、本展の開催地となる吉祥寺は、吉野が幼少期から親しみ、時を過ごしてきた土地であり、いうなれば、彼自身の記憶も吉祥寺という土地の一部を成しています。彼は今回の作品制作に向けた取材の過程で、生まれ育った人、移り住んできた人、通勤している人、たまたま訪問した人など、吉祥寺を行きかうさまざまな人びとに会い、吉祥寺に存するさまざまな記憶に触れてきました。それはとりもなおさず、吉野自身の記憶を再認し、現在の吉祥寺に積み重ねなおす作業であったに違いありません。

吉野祥太郎の新展開となる本展は、大小の彫刻作品とインスタレーションによって構成されます。吉祥寺という土地に堆積し、いままさにこの土地を「吉祥寺」として立ち上げる無数の記憶のうえに、吉野は新たな記憶を立てます。吉野の作品をとおし、私たちもまた、私たち自身の素地にある記憶と向きあい、ふたたび持ち上げ「立てる」こととなるでしょう。その体験はまさに、自己存在の再発見でもあるはずです。

先ゆきの見えない時世にありますが、本展が、私たちがいまここに立っているということを問いなおす機会となるよう、願ってやみません。

時間の堆積
《時間の堆積》2018年 地面、土、記憶、生命 Photo: Shotaro Yoshino
不確かな境界線
《不確かな境界線》2020年 ミクストメディア Photo: Shotaro Yoshino

基本情報

2023年度吉祥寺美術館企画展 吉野祥太郎―立てる記憶―

会期 2023年4月15日(土曜)から5月28日(日曜)

休館日 4月26日(水曜)

開館時間 午前10時00分~午後7時30分

入館料 一般300円、中高生100円、小学生以下・65歳以上・障がい者のかたは無料

主催 武蔵野市立吉祥寺美術館(公益財団法人 武蔵野文化生涯学習事業団)

協力 井の頭自然文化園(公益財団法人 東京動物園協会) 天壺 カヤシマ SYP Gallery

関連イベント

詳細は「イベント」のページをご覧ください

対談 水沢勉(神奈川県立近代美術館 館長)・吉野祥太郎

水沢勉氏と吉野祥太郎氏の対談。本展で展開される最新作を軸に、表現の主題や制作過程の実際などについてお話しいただきます。

会場 吉祥寺美術館音楽室

定員 60名(先着順)

予約不要・要入館。当日直接会場にお越しください。

※諸事情により開催時間を午後5時からに変更いたします。どうぞご了承ください。

講師
水沢勉氏(神奈川県立近代美術館 館長)、吉野祥太郎氏
日時

4月22日(土曜)午後5時00分より

かたりば―土地の記憶について―

山本拓人氏(民俗学研究者)、吉野祥太郎氏とともに車座になり、土地がもつ「記憶」について語り合います。

会場 吉祥寺美術館 音楽室

定員 20名

要入館、ご参加にはお申し込みが必要です(4月17日午前10時より受付)。

お申し込み、お問合せは吉祥寺美術館へ。電話0422-22-0385。

 

講師
山本拓人氏(民俗学研究者)、吉野祥太郎氏
日時
4月29日(土曜祝日)午後2時00分より

土のレストラン

アーティスト・コレクティブbacilli(ジェームズ・ジャック、南条嘉毅、吉野祥太郎)によるワークショップ「土のレストラン」。

テーブルを囲み、武蔵野市内をはじめとするさまざまな場所から採取した土の香りを味わいながら、土地の「記憶」について話します。

会場 井の頭自然文化園 彫刻園 B棟ほか

定員 12名

参加費 300円

ご参加にはお申し込みが必要です(4月24日午前10時より受付)。

お申し込み、お問い合わせは吉祥寺美術館へ。電話0422-22-0385。

 

 

講師
ジェームズ・ジャック氏、南条嘉毅氏、吉野祥太郎氏
日時
5月13日(土曜)午後1時00分より
作品:Layer to Now
《Layer to Now》2017年 地面、コンクリート、鉄 Photo: Shotaro Yoshino