斎藤真一展 瞽女と哀愁の旅路

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ページ番号1002374  更新日 2022年3月28日

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会期
前期:2009年12月12日(土曜)~1月17日(日曜)
後期:2010年1月20日(水曜)~2月21日(日曜)
休館日
12月28日(月曜)~1月4日(月曜)、1月18日(月曜)、1月19日(火曜)、1月27日(水曜)
入館料
100円(ただし、小学生以下・65歳以上・障がい者は無料)
主催
武蔵野市立吉祥寺美術館
協力
財団法人出羽桜美術館、ギャラリー朱雀院、不忍画廊
関連イベント
  1. 12月23日(水曜・祝日) 朗読と音楽「ひとり、かたり」
  2. 1月23日(土曜) 講演と朗読「一枚の絵」

ポスター:斎藤真一展 瞽女と哀愁の旅路


1960年、一年間のヨーロッパ留学を終えて帰国した画家、斎藤真一[岡山県味野(現倉敷)生まれ/1922-1994]は、パリで親しくなった藤田嗣治の勧めもあり北国を旅するようになりました。津軽の宿屋の主人から、三味線と唄で旅をつづける盲目の旅芸人・瞽女(ごぜ)の話をきき、その存在に強く惹かれ、越後へ―。村から村をめぐる瞽女道を自ら歩きながら、この世をすでに去った瞽女の人生に思いをはせ、「人なれば誰れでも背負っている人生の悲しみという縮図」をそこにみた思いがしたのでした。そして瞽女らの「生の宿命」を強く印象づける赫(あか)で次々と絵に描き、その境涯を《越後瞽女日記》にまとめました。
瞽女の姿を追い求めるうち、その思いは絵画にとどまることなく、文筆の分野にもおよび、1970年代以降、『瞽女=盲目の旅芸人』(第21回日本エッセイストクラブ賞)や『越後瞽女日記』(ADC賞)を著し、さらに養祖母をモデルにした『明治吉原細見記』『絵草紙 吉原炎上』の著者としても高く評価され、のちに広く映画・舞台化されました。
30代のヨーロッパ放浪で目にした異国の旅芸人、越後路で心打たれた瞽女、養祖母をきっかけに知った明治吉原の遊女たち、また藤田嗣治をはじめとする理解者など、斎藤には多くの旅と出会いがありました。その旅路と出会いを通して知った様々な喜びと哀しみ、時をへて人知れず忘れ去られていくものへの哀愁の念が、斎藤を絵に向かわせました。
街の風景や文化がめまぐるしく変化し、希薄な人間関係や社会への不安が増す現代において、斎藤真一の作品は、ないがしろにされてはならない庶民の感情や、ものやひとの奥深くにある美の本質といった、時代は変わっても大切にしてゆくべきものがあることを、私たちの心に強く語りかけてきます。
本展は、会期を前後期に分け、前期は旅愁あふれる初期作や、明治吉原を再現した絵草紙の世界を中心に、また後期は赫い瞽女の作品群や、さすらいや街角の風景を中心に構成し、画家自身の残した言葉とともに計約120点の作品を紹介します。

作品:陽の雪野
《陽の雪野》1977年
出羽桜美術館蔵
作品:道
《道》1963年 個人蔵
作品:星になった瞽女(みさお瞽女の悲しみ)
《星になった瞽女(みさお瞽女の悲しみ)》
1972年 不忍画廊蔵