写真と民俗学 内藤正敏の「めくるめく東北」

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ページ番号1002373  更新日 2022年3月28日

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会期
2009年10月3日(土曜)~11月8日(日曜)
休館日
10月28日(水曜)
入館料
100円(ただし、小学生以下・65歳以上・障がい者は無料)
主催
武蔵野市立吉祥寺美術館
後援
岩手県遠野市、山形県酒田市、酒田市教育委員会
関連イベント
  1. 10月3日(土曜) 講演会「出羽三山の宇宙」
  2. 11月1日(土曜) 講演会「宮沢賢治と佐々木喜善-東北で生まれた新しい学問」

作品:写真と民俗学 内藤正敏の「めくるめく東北」


内藤正敏(1938-)は、撮影のために赴いた出羽湯殿山で即身仏に出会って以来、写真家として独自の作風を獲得するとともに、東北の民間信仰を主題に研究を開始。写真家であり民俗学者、というふたつの異なる領域で東北地方をかけめぐり活躍しています。
大学時代には化学を専攻し、その後フリーの写真家として、宇宙・生命をテーマに化学反応を撮影する“SF写真”に取り組んでいた内藤は、25歳のときに出羽湯殿山の注連寺で鉄門海上人の即身仏に出会い、強い衝撃を受けます。これを機に修験道への興味を深め、1966年に羽黒山伏の秋峰修行に参加。以降、東北地方の民俗・信仰を精力的に撮影し、『婆バクハツ!』(『婆 東北の民間信仰』1979年)、『出羽三山と修験(日本の聖域9)』(1982年、※第2回土門拳賞受賞)、『遠野物語』(1983年)、『東京 都市の闇を幻視する』(1985年、※日本写真協会年度賞)等を刊行。闇に向かってストロボを焚く独特の作風で注目を集め、国内外で発表されました。同時に、民俗学者として『ミイラ信仰の研究』(1974年)、『聞き書き遠野物語』(1978年)、『修験道の精神宇宙』(1991年)、『遠野物語の原風景』(1994年)、『日本「異界」発見』(1998年)、『日本のミイラ信仰』(1999年)、さらに近著『民俗の発見』<Ⅰ東北の聖と賎><Ⅱ鬼と修験のフォークロア><Ⅲ江戸・王権のコスモロジー><Ⅳ江戸・都市の中の異界>全4巻(2007-09年)等を上梓。東北と江戸・東京、自然と都市、王権と民衆、科学と宗教といった異質のテーマを重層的に交叉させ、多角的な視点と斬新な発想に基づく民俗学の論考を次々と発表しています。
本展では、写真と民俗学という異なる分野で活動する内藤正敏のふたつの思考とその交叉をテーマに、『出羽三山』『遠野物語』等、いずれも友好都市・岩手県遠野市と山形県酒田市に取材した作品を中心に、内藤正敏による文章(民俗学)をあわせて展示し、写真と民俗学が“対決”する空間構成により、内藤正敏の仕事をご紹介します。

作品:コアセルベーション
「コアセルベーション」より
1962年
作品:高山稲荷
「婆バクハツ!」より
高山稲荷、1970年

作品:びんずる尊と羽黒鏡
「出羽三山の宇宙」より
びんずる尊と羽黒鏡
(海向寺、出羽三山神社)1984年