吉祥寺のモダニスト 小畠辰之助

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ページ番号1002334  更新日 2022年3月28日

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会期
2015年1月10日(土曜)-2月22日(日曜)
会期中の休館日
1月28日(水曜)、2月18日(水曜)

小畠辰之助(1892-1977)は、かつて吉祥寺を拠点に活動した画家です。生まれ故郷の京都で鹿子木孟郎に師事した後上京、黒田清輝の下で画技を研きました。日本画家の小畠鼎子と結婚後は吉祥寺に居を構え、生涯をこの地で過ごすこととなります。記者や美術教師などの仕事の傍ら、組織に属さずに淡々と制作を続けた小畠は「清潔でよい絵を描く」ことを信条としましたが、その作風は白馬会風の外光表現の影響を滲ませ、自然光を取り込んだ平明かつ柔和な画風が特徴です。

自身は画壇の中心から距離を置きつつも、画家をはじめ文学、演劇などに携わる文化人らと広く交流し、晩年は中村草田男の主宰する俳誌『萬緑』の表紙画を長く手掛けていました。自らも俳句を詠み投稿を続けるなど、垣根を張らない文化活動を気の向くままに展開する自由人でした。

こうして辰之助は、組織や名声に拘らず、作品を売って稼ぐことに興味を持たなかったために、ほとんど記録も紹介もされてきませんでした。本展覧会は、その画業に光をあてる試みであると同時に、当館が所蔵する約30点の辰之助作品を一挙に公開する初の機会となるものです。貴重な関連資料もあわせて展示し、洒落者としても知られていたモダンな文化人・小畠辰之助の人間像にも迫ります。

作品:少女
「少女」制作年不詳
作品:井之頭
「井之頭」制作年不詳
作品:静物(柿)
「静物(柿)」制作年不詳
作品:インド人
「インド人」制作年不詳