心をつなぐあたたかな色 柿本幸造の絵本の世界

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ページ番号1002296  更新日 2022年3月28日

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The World of Kozo Kakimoto’s Picture Books

会期
2018年9月29日(土曜)~11月11日(日曜)
休館日
10月31日(水曜)
開館時間
10時00分~19時30分
入館料
300円(中高生100円、小学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料)
主催
武蔵野市立吉祥寺美術館
協力
学研プラス・至光社・チャイルド本社・ひさかたチャイルド・光村図書出版・偕成社・教育画劇・講談社・小峰書店・新日本出版社・世界文化社・ひかりのくに・フレーベル館
作品:こども音楽館 どうぶつのカーニバル
『こども音楽館 どうぶつのカーニバル』 文:筒井敬介 学研 1969年

絵本の画家・柿本幸造(1915-1998)が描いた愛らしい動物や子どもたち。100万部を超えるベストセラーとなった『どうぞのいす』(ひさかたチャイルド)や、小学校の国語の教科書に1971年から掲載が続く「くじらぐも」(光村図書出版)の絵に馴染みのある人も多いでしょう。ですが戦中戦後にかけて、広告関係のイラストを手がけていた柿本が子どものための絵を描き始めたのは、意外にも30代も後半になってからでした。1954年7月号の『よいこのくに』(学研*)で初めて挿絵を担当して以降、『ワンダーブック』(世界文化社)、『ひかりのくに』(ひかりのくに)などの月刊絵本、図鑑と、活躍の場は広がります。鮮やかな色彩やデザイン性の高い構図、乗り物を描く際の精緻な表現など、画面は後年の柔らかな作風とは別の魅力に満ちています。

本展では、日産自動車のカレンダーや月刊絵本の挿絵などの初期作品に加え、1967年から約30年かけて26冊が刊行された「どんくまさん」シリーズ(至光社)、1981年刊行の『どうぞのいす』をはじめとする代表的な絵本の数々、1989年から亡くなるまで手がけた『にじのひろば』(至光社)の表紙画に至るまで、原画やアイデアスケッチなど約200点を展示いたします。

1枚の絵を仕上げるのに、人一倍時間をかけたという柿本。それでも仕上がりに満足することはなかったといいます。円熟期の作品から醸し出されるあたたかさは、じっくりと絵の具を重ねて描く特有の手法そのままに、子どもの心へとつながる優しいメッセージを塗り重ねているからかもしれません。83歳でこの世を去ってから今年で20年。常に子どもの心に寄り添って描き続けた、柿本幸造の絵本の世界に迫ります。

作品:どうぞのいす
『どうぞのいす』作:香山美子 ひさかたチャイルド 1981年
作品:くじらぐも
「くじらぐも」『こくご一下ともだち』作:中川李枝子 光村図書出版 1992年
作品:にじのひろば
『にじのひろば』至光社 1998年10月号

【柿本幸造(KOZO KAKIMOTO/1915-1998】

写真:柿本幸造


広島県生まれ。20歳で上京、広告関係の会社に就職。戦後は子ども博覧会の企画や会場構成に携わり、日産自動車のカレンダーなどのイラストを担当。1943年より、鎌倉市内に住む。1967年『どんくまさん』(文:蔵冨千鶴子 案:武市八十雄 至光社)を出版。1971年、小学校教科書『しょうがくしんこくご一年下』にて、挿絵を担当した「くじらぐも」(作:中川李枝子 光村図書出版)が登場。月刊絵本の挿絵や絵本の画家として活躍した。

代表作に、『どうぞのいす』(作:香山美子 ひさかたチャイルド)、『しゅっぱつしんこう!』(文:三田村信行 小峰書店)、『講談社の名作絵本 てぶくろをかいに』(作:新美南吉 講談社)、『ぴょんぴょんぱんのかばんです』(文:香山美子 新日本出版社)、『のんびりやまのひげはちぎつね』(作:木暮正夫 教育画劇)、『どんぐりとんぽろりん』(作:武鹿悦子 ひさかたチャイルド)、『はねーるのくりひろい』(作:村山桂子 フレーベル館)などがある。1998年、12月逝去。享年83歳。

作品:学研こども百科 第7巻 りくののりもの
『学研こども百科 第7巻 りくののりもの』 学研 1965年
作品:おりんぴっく
「おりんぴっく」『よいこのくに』学研 1964年10月号
作品:学研のがくしゅう絵本 社会シリーズ どうぶつえんのおじさんたち
『学研のがくしゅう絵本 社会シリーズ どうぶつえんのおじさんたち』指導監修:古賀忠道 学研1969年
作品:こども音楽館 どうぶつのカーニバル
『こども音楽館 どうぶつのカーニバル』 文:筒井敬介 学研 1969年
作品:おつかいホップホップ
「おつかいホップホップ」『エースひかりのくに』 文:飯島敏子 ひかりのくに 1969年4月号
作品:どんくまさん そらを とぶ
『どんくまさん そらを とぶ』 文:蔵冨千鶴子 案:武市八十雄 至光社 1969年
作品:たろうきたのうみへいく
「たろうきたのうみへいく」『ひかりのくに』 文:神沢利子 ひかりのくに1968年7月号
作品:サンタおじさんのいねむり
『サンタおじさんのいねむり』 原作:ルイーズ・ファチオ 文:前田三恵子 偕成社 1969年
作品:じゃむじゃむどんくまさん
『じゃむじゃむどんくまさん』 文:蔵冨千鶴子 至光社 1973年
作品:ママのすいえい
「ママのすいえい」『学研おはなしえほん』作:長崎源之助 学研 1983年7月号
作品:くまのこくまきち
『くまのこくまきち』 作:中川李枝子 ひさかたチャイルド 2002年
作品:しゅっぱつしんこう!
『しゅっぱつしんこう!』文:三田村信行 小峰書店 1984年
作品:どんぐりとんぽろりん
『どんぐりとんぽろりん』作:武鹿悦子 ひさかたチャイルド 1981年

展覧会関連イベント

※(1)(2)とも、参加費は不要ですが、イベント当日の美術館入館券が必要です。

(1)絵本編集者4名による座談会

没後20年に寄せて…「絵本の画家・柿本幸造を語る」

→定員に達しました

終の棲家となった鎌倉に今もそのまま残されているアトリエの様子をスライドで紹介しながら、晩年に親交のあった編集者たちを中心に、当時の想い出や本展に原画が出品されている絵本や月刊絵本についてなど、柿本幸造の魅力について語って頂きます。

日時
10月20日(土曜)14時00分~16時00分
会場
武蔵野市立吉祥寺美術館 音楽室
出演
市川宣子 (ひさかたチャイルド)・小沼みさ子 (至光社)・土井章史 (トムズボックス)・長峯宣子 (学研プラス)
定員
80名(申し込み先着順)*9月30日(日曜)10時00分より、お電話(0422-22-0385)または美術館窓口にて受付開始。1回のお電話につき、2名様まで受付可。小学生以下の方は要保護者同伴

(2)人形劇

「大型絵本『どうぞのいす』の読み聞かせ&『どんくまさん』の人形操演

→定員に達しました

『どうぞのいす』の読み聞かせ。「どんくまさん」シリーズの読み聞かせには人形操演も加わります。

日時
10月7日(日曜)14時00分~14時40分
会場
武蔵野市立吉祥寺美術館 音楽室
出演
チェルシー舞花(モデル)、山田はるか(人形操演)
定員
70名(申し込み先着順)*9月22日(土曜)10時00分より、お電話(0422-22-0385)のみで受付開始。1回のお電話につき、2名様まで受付可。小学生以下の方は要保護者同伴

“どうぞのいす”に座ってみよう!

展覧会期間中、ロビーに“どうぞのいす”を設置します。ぜひ実際に座って、記念撮影をどうぞ!

「第6階三鷹まるごと絵本市」[10月21日(日曜)~28日(日曜)]にて、本展にちなんだ関連イベントが開催されます!

「朗読で楽しむ柿本幸造の世界」10月28日(日曜)

※詳細は、「三鷹まるごと絵本市」のHPをご覧下さい。問い合わせ先は、「三鷹市星と森と絵本の家」(0422-39ー3401)まで